
羊乳チーズでは世界で一番有名なチーズと言っても過言では無いでしょう。
そう、天然の洞窟で熟成させるロックフォール。
あのうっとりする芳香、これを臭い(におい)と書いてはいけません。
私には無くてはならない奥の深いチーズ。
誕生は2000年前以上、ジュリアス・シーザーの時代に以前にまで遡ります。
それでは羊肉屋の目線もまじえながら書いていくことにしましょう。
産地はフランス。
フランスはルエルグ地方、コンバルウ山の麓にある「ロックフォール・シュール・スールゾン」という村の地下に広がる洞窟で熟成されたチーズのみが「ロックフォール」と名乗れます。
この洞窟は1年を通して温度9℃・湿度95%と理想的な熟成室になっているんです。

見た目に特徴的な青いものはカビ、「青カビ」というやつです。
Penicillium roquefort(ペニシリウムロックフォルティ)という青カビは、もともとライ麦に生えていたものをチーズに移植したものです。
イタリアのゴルゴンゾーラ(牛乳)も同じ種類の青カビです。
AOC. 認定のチーズなので(フランスの農業製品、ワイン、チーズ、バターなどに対して与えられる認証アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレの略)、その原材料や製法には厳しい基準があります。
このチーズに関する逸話などは他所に任せておいて、肝心の味わいを。
アオカビによって乳脂肪分が分解され生じた脂肪酸などのために鋭い鋭角の風味があり、
羊乳の乳臭さはほとんどしません、なのでゴルゴンゾーラのイメージをもった人がロックフォールチーズを「牛乳製」と間違って憶えてしまう人も結構います。
色々食べてみると、ざらついた感じのロックフォールに出会う事もありますが、それは熟成が進むにつて、段々とチーズ自体は溶けて(液化?)いくのに対して青カビは溶けないのでそんな感じを受ける事があります。
ロックフォールを初めて食べると「これは食べ物なのか??」、匂いをかんだだけで「ダメ」という人がいるほど特徴的です、私のまわりにはくさやと比べる人もいるくらいですが。。。(苦笑)
口に含むと、なんとも言えない風味、そして塩気。
このように感じるか完全に拒否か(笑)オールオアナッシングなチーズです。。。
ただ、ライ麦パンなどにちょこっと風味付け程度に乗せてやれば食べられない人でも食べられます。
そうまでして食べる必要はないかも知れませんが、自分が食べているものを一緒に楽しんで欲しいときは、ちょっとした工夫で、このチーズが好きになるかも知れません。
フルーツやクルミ・レーズンなどが入ったパンがお薦めです。
合わせるワインとして有名なのは「甘口の白」であると言うこと。
これほどはっきりとしたマリアージュも珍しいほどです。
赤ならフルボディのどっしりとしたものをおすすめします。
そのまま食べる他にサラダに散らしたり、
当然!仔羊ローストのソースにすると絶品!(←これは止められません!!!)
さて、羊肉屋として忘れてはならない羊のお話。
ロックフォールチーズを解説しても羊の品種にまで解説が及ぶことってあまりないですよね?
せいぜい「この地方の羊を使ってます」くらいで。
おまちかねの品種コーナー。

ラコーヌ種、マネッシュ種、バスコ・ベルネーズ種という羊の混合乳を使用しています。
一番割合が多いのがラコーヌ種(左側)だそうです。
この3頭を一同にあつめて「ロックフォール記念写真」を撮影したいと思っているのは私だけでしょうか??
Lacaune(ラコーヌ種)
フランスで羊乳といえばラコーヌ羊の乳が多いでしょう。
ロックフォールに限らず様々なチーズの原料として使われています。
Manech(マネッシュ種)
ちょっと小柄で特徴的な顔と羊毛をもったマネッシュ。
ピレネーあたりに多く生息する羊で、現在ではだんだんと数が少なくなってきています。
乳をより多く絞る為の改良などが加えられて昔ながらの特徴的な風貌を持った純血マネッシュ羊の保護活動も始まっているようです。
Basco-Béarnais(バスコ・ベルネーズ種)
こちらも上記マネツシュと同じくピレネー(バスク方面)あたりに生息する羊。
(フランス側のバスクはわずか15%程)特徴的な風貌も上記と通じるものがありますし、
保護活動についても同じ事が言えます。
ロックフォール・シュール・スールゾン村の洞窟があっても、この羊達がいないと本当のロックフォールチーズは作れません。
それぞれの「奇跡」が重なり合ってできた、本当に奇跡的なチーズ。
それがロックフォールチーズだと思います。
いつか地球の気候がガラリとかわり、このチーズが食べられなくなる日が来ないとは誰にも断言出来ないでしょう。
そんな日が絶対に来ないことを心よりいのってます。。。
おまけ:新鮮なロックフォールチーズの見分け方。
痛んでくると黄色っぽい水分が出てグジュグジュしてきます。
長い間店頭にならんでいるパック販売のものなどには注意が必要して下さい。
せっかくのロックフォール。
特に初めて食べる方は最高に美味しい状態のものを食べないと、人生が変わってしまいますのでお気を付け下さい。
ロックフォールを作っているメーカーは8社くらい(未確認)あるそうですよ。
・カルル社
・パピヨン社
・ロックフォール・ソスィエテ社